皆さん、こんにちは。 新大陸の風の匂い、覚えていますか? 私は今、エオルゼアから少しだけ離れた場所で、穏やかな日々を過ごしています。
先日、ボーっとネットを眺めていると、胸の躍るようなニュースが目に飛び込んできました。そう、「Patch7.3」の情報です。 新しいメインストーリーの展開、心躍るアライアンスレイド、そしてクラフター心をくすぐる数々の新レシピ……
正直に言って、めちゃくちゃワクワクしました
ですが、不思議なことに、以前の私なら感じていたはずの「そそろインしたいな」というような感情が、全く湧いてこなかったのです。
それはまるで、好きな連続ドラマの新シーズンの報せを聞いた時のよう。「ああ、またあの世界に会えるんだな」「どんな物語が待っているんだろう」。そんな、穏やかで、確かな喜びに満ちた感覚でした。
「黄金のレガシー」がリリースされた直後、私は熱に浮かされるように全てを駆け抜け、その果てに燃え尽きてしまいました。でも、その経験があったからこそ、今の私は、FF14という世界ともっと素敵な距離感で向き合えている気がします。
今回は、そんな私が「patch7.3」の報せに触れて感じた、新しい形の興奮と、「いつでも帰れる場所」があることの幸福について、お話しさせてください。

第一部:以前とは違う「ワクワク」の質
あの「黄金のレガシー」リリース直後の興奮は、今思えば「熱狂」や「喧騒」という言葉が相応しいものでした。誰もが同じスタートラインに立ち、新しい世界へ我先にと駆け出していく。その一体感は素晴らしいものでしたが、同時に、常に「誰か」のペースを意識し、乗り遅れてはいけないという『焦り』がありました。
新式装備をいち早く作るためにマーケットボードに張り付き、零式に挑戦するために、自分の時間を最適化する日々。それはそれで充実していましたが、息が詰まるような感覚があったのも事実です。
しかし、今回の「7.3」の報せに対する私の心の動きは、全くの別物でした。 久しぶりにパッチノートに並ぶ魅惑的な文字列を眺めながら、私が考えていたのは「久しぶりに復帰したいな」ではなく、「この新しい物語を、いつ味わおうか」ということだったのです。
この心の変化は、一度燃え尽きたからこそ得られた、私にとっての大きな「学び」でした。FF14は、短距離走のように駆け抜けるだけが全てではない。美しい景色を眺めながら、自分のペースで歩く長距離散歩のような楽しみ方だって、この世界は許してくれるのだと、ようやく心から理解できたのです。

第二部:「いつか」を楽しみにする喜び
パッチノートを読みながら、私は未来の自分に思いを馳せていました。
新しいアライアンスレイド
きっと、壮大で美しい、そして今の私にとってはかなり難しいギミック満載のダンジョンが待っていることでしょう。かつての私なら、実装初週にクリアすることを目指していたはずです。
でも、今の私は違います。
「実装からものすごく時間が経って、落ち着いた頃に仲間と『観光気分で行ってみようか!』となるのが楽しそうだな」
そんな風に考えています。
追加されるメインストーリー
もちろん、物語の続きは気になります。ですが、これも急ぐ必要はありません。いつかそう遠くない未来で、自分だけの時間を使ってじっくりと向き合う。一言一句を噛みしめ、キャラクターたちの心の機微に涙する。そんな贅沢な物語体験ができることを、私は知っています。
「今すぐ」ではなく、「いつか」に楽しみが待っている。この、未来への貯金のような感覚が、日々の生活にさえ、ささやかな彩りを与えてくれるんじゃないのかな。

第三部:ここが「帰る場所」である、最高の証明
この穏やかな気持ちこそ、吉田P/Dが私たちに伝え続けてくれている「FF14が目指す場所」の、最終的な答えなのかもしれません。
「いつでも休んでいいし、いつでも帰ってきていい」
この言葉の本当の意味を、私は今、噛み締めています。 それは単に「ゲームを休止してもいい」という意味だけではない。「ゲームの中の、あらゆる”競争”や”熱狂”から、いつでも自由に距離を置いていい」という、プレイヤーの心の自由を最大限に尊重する、運営からの温かいメッセージなのです。
新しいパッチが当たり、世界が大きく動いている。その事実を「嬉しいニュース」として純粋に喜べること。そして、「でも、私がそこに参加するのはもう少し先かな」と、何の気兼ねもなく思えること。 これこそが、FF14が私にとって、流行りのゲームソフトではなく、心の「故郷」や「帰る場所」になった、何よりの証明なのだと感じています。

結論:だから、まだ走らない。でも、心はいつもエオルゼアに。
というわけで、私はまだまだログインはしないでしょう。 最前線を駆け抜けていく友人たちの、楽しそうな報告をSNSで眺めながら、「いいなぁ、楽しそうだなぁ」と、にこにこしているはずです。その光景に、ただ、同じ世界を愛する仲間たちの、純粋な幸福を喜ぶことができる、そんな自分になれたことが嬉しいのです。
私の復帰は、もう少し先。 祭りの熱気が心地よい熱に変わり、新緑の匂いを乗せたそよ風が吹き始める頃。自分の心が「ああ、そろそろ帰りたいな」と、自然に告げた時です。
だって、エオルゼアは逃げも隠れもしないのですから。 私が帰る時まで、たくさんの新しい物語とお楽しみを用意して、悠然とそこに在り続けてくれる。
いつでも帰れる場所が、今日も世界のどこかで息づいている。 そう思えるだけで、こんなにも満たされた気持ちになる。これ以上の幸福があるでしょうか。